カヌMM'1083を作る

1.MM’1083とは、制作動機

 モハ484+485-1083ユニットのことを指し、485系1000番台の中間車である。

 1979/6/12付けの東急製造で落成配置は秋田であった。

 その後1992/6/13に勝田に転属。ひたち色に塗装変更も行い、ひたち専属車となった。しかし数年で485系によるひたちの運転終了が近づき、その役目を終え新天地へ向かうこととなったのである。

 1997/10/23付けで上沼垂に再度転属。検査に入るも塗装変更行わず、約2年に渡ってひたち色を貫き、様様な編成を彩ったのである。1999年に上沼垂色になり、最期はここに骨をうずめることとなる。ここで私はMM’1083にとって、最も激動の時代となったであろう1997年末期~1998年初期の姿を再現することにした。

 

2.MM’1083を作る

 作ろうと思ったきっかけはTOMIXからほぼ完ぺきな素材になりうる限定はつかりと呼ばれるセットが発売されたことによる。発売以前の1000番台は妻面に200番台のダクトを用いていたため、正規化されていなかったのである。

 今回用意したのは下記のものである。

・98981 JR485系特急電車(はつかり祝海峡線開業)セットよりMM’1000後期

・0623 PS16HR

・TTP201-10 汎用手すり1.0ミリ幅

・真鍮線、塗料各種

 

 まず、屋根は塗り屋根であったため、塗り屋根不要箇所をしっかりマスキングしプラサフにより塗り屋根化を行った。巷で流行っているスエード調スプレーやよくわからない工法はHOに近いオーバースケールな粒子サイズであるから考慮に入れていない。

 次に屋根上の高圧機器の配線を追加することにした。ここまで行ったものが下記の写真である。

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元屋根を塗装しただけ…

 そして機器類をすべて塗装した。プライマーは自家製のものを使っているので気になる方はアンケートに記入していただきたい。そして塗装後の写真が以下である。

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屋根機器を含め完全に塗装をした

 そして同時に床下機器の塗装を行った。ガイアカラーのピュアブラックとクレオスのGX114を使用した。

 最後に車体である。こちらは妻面の立体化と車側灯の交換を行った。また勝田経験車はサボ受けが撤去されているのでそちらも再現した。

 塗装は、白はガイアのNグレー1とNグレー2、鳩羽鼠色はガイアカラーのCB11にNグレー1を少々、黄色はグンゼの21またはガイアのNo.201ダークイエロー1を使えばいいだろう。屋根も最盛期の写真を参考にウェザリングした。その見た目はまるでうんこのようにも見える。

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まずは鳩羽鼠…。

 

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次に白…。

 

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最後に黄線を塗装



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水研ぎして一先ず…。



 

 

 

内装、細かいところはできていないのであくまでも仮落成とした。以下、仮落成品。

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車間ダンパは交換予定だったので撤去

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実車に即してウェザリング、カヌでの全般検査前を作成したため、かなり汚くなっている

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落ち着いた床下なども見てもらえるとうれしい

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1998年初期の姿をモチーフにしている

 

 

3.あとがき

 最後に銀差し等も行った。1998年には碍子が緑に塗られるので、そちらの屋根もまた作ろうと思う。屋根付け替えたら車体を共用できるな?

 のちにサボ受けが復活するので、最低でもあと2つ(車体共有すれば1)同じユニットを作ることになるので嫌気がさしてきた。

 

 

 

4.意見、感想など

 以下アンケートになっています。許可が得られない限り公表しないので、好き放題書いて送ってください(送っていただけるだけでうれしいので…)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfEXE3FXS2oGyN3-7Ukw3vuU2MTwm0PnZXWJ35r94-RBCKcFA/viewform?usp=pp_url

 

模型製作における当工房ガイドライン

1.記述目的

 当工房での標準加工を改めて確認する。参考になればと公開することにした。”できることをサボらない”加工派のモデラーが減っている中、逆向するような記事を書いていて恥ずかしくはなった。

 

 

2.制作にあたり意識していること

 当工房では『サボらず、できることは一切妥協しない』というスタンスで加工をするようにしている。自己満足の趣味だからこそ、自分に厳しくやっていきたい(おかげで模型製作がなかなか進まず絶望的な完成速度になっているので真似は推奨しない)。

 

 

3.加工手順

①制作物の選定

 事細かに何を制作するのか、書き出す。そのモチーフを徹底的に調査し、特徴を全てアウトプットをする。ここは再現できるかどうかにかかわらず行う。アウトプットしないと次何をするのか忘れてしまったり、後から気付いて焦るなんて経験が多いが故のプロセスである。

(例)Thsc481-1029 

  なぜか前面シンボルマークが分割型、タイフォンは原形で、1028,1030と区別できる

 

 

種車の選定

 気にかけていることは主に三点。

 まず、費用対効果を常に意識して種車の選定を行う。製造ロット、製品のクオリティ、欠品や傷、破損というものには常にアンテナを立てておく。当工ではクオリティが低く他に対抗がない場合も、一切の妥協はせず購入しない。G社、鉄コレを買わない理由はこれに起因する。どうしても必要であれば徹底的に叩き直す計画を立てたうえで導入する。

 次に、なるべく『金型』の近い製品を選定する。これは加工や標準工事によって何かしらの塗装を行うことが大いに考えられるからである。
 最後に、ウエイト、台車の集電方式、車輪の製造時期などは必ず意識する。いずれも集電、ライトのチラつき、転がり抵抗に影響を及ぼすので留意している。また、ウエイトは分売が存在するが一部のみであり、鉄コレに使用される例も多いので在庫は常にゼロに近いことを忘れてはいけない。また、旧集電から新集電への交換はかなり面倒である。なぜなら集電シューの分売が存在しないからである(部品が酷似しており取付ミスを防ぐため?)。

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ウエイトと車輪の変遷

 

 

③購入

 ほとんどの場合は最低限の調査を行ったうえで予約or購入する。衝動的で行き当たりばったりな購入はのちに後悔をする可能性が高いからである。やむを得ず買う場合も後の展開、処理を考えて購入することを必ず心掛けるようにしている。

 また、友人に購入を勧めるのもいいが、そんなにいいと思うなら自分で買って押し付けた方が幾分かマシだろう。誰かがこの製品を買うべきだといった、などという言葉を吐くようなやつにはなりたくないし、そいつ多分キOタマついてないだろう。

 

 

④検品

 新製品、中古に関わらず、穴が開くまで検品をするようにしている。理由は二つある。

 まず、検品漏れの場合である。もうわかるだろうが、後悔する。後悔しない奴はか~なり変わっている性癖なんだなと思いますね、ハイ。

 そして、製品の精度の低下である。いずれのメーカーに関しても、現状の製品の『質』の低さというのは一世代前のオタクの検品不足による、品質向上化への怠慢の表れであろう。ここまで見ているんだぞ、ちゃんと品質管理しろというアピールのため、メールを送るのが一番の対応ではないだろうかネットで騒ぎたがる目立ちたがり屋さんが最近多いが、普段騒げていないからといって叩くのは筋違いだぞ。自分のことを棚に上げるな?その点は心の底から反省しております。若かりし頃の過ち、償っていきます。

 

 

⑤分解

 中古の場合は必ず行うこと。どこに何が入っているか分からないので分解して清掃までは行うことを推奨。

 当工房では必ず床下機器の再塗装を行っている。見た目の改善は目を見張るものがあるので必ず行っている。黒色床下の場合はガイアのピュアブラック、グンゼのGX114を使用している。K社の黒色床下だけは一生許さない覚悟です。

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再塗装をしたKATO製EF63の床下

 

⑥加工

 加工というのは個々人の腕が問われるところではあるこそ、あまり詳細な記述は避ける。

 主に目立つところの加工のみを行い、全体的に『模型らしさ』をなくすのを目標にしている。とても難しいことだが、達成感はすさまじい。また、ミスした際も成功した際も必ず自ら主観的に客観的にフィードバックを行い、簡易的に何かにメモをしておくといい。

 (例)手すり植えの穴が大きくなって目立つ→0.25mmの刃を試してみよう。

    手すり植えにかかる時間が短縮された→もっと早く、成功する方法はないだろうか?

 

 加工前に私がやっていることのみ記しておく。

 ルーティンを必ず行っている。手をきれいに洗うだけであるが、気持ちの入れ替えができるので仕事前や気持ちを鎮めたい際に行っている。

 

 

⑦塗装

 私が最近気を付けるのはホコリ、湿度、洗浄である。いずれも選択を誤ると塗膜の脱離にかかわる重要な案件である。ホコリは見た目にも影響を与える(おすすめは野外で全裸塗装)

 

*マスキングについて

 基本的には新しく切り出したものをマスキングラインに使うことに気を付けている。マスキングは平行と直角を無限に気にするようにするとうまく決まりやすい気がする。

 塗装は以下に気を付けて丁寧に塗装している。

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①マスキングし、綿棒で軽く擦って隙間を軽く埋める。

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②下地で塗装してマスキングとボディの隙間を完全に埋めて吹込みを減らす(応用で、無塗装ボディを扱う場合はクリアーなどでも代用できる)。

 

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             ③何度も塗膜を重ねる。

 

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④マスキングテープを剥がす。

 

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⑤2000番などで力を入れず水研ぎを行う。



 

⑧レタリング

 注意しなければいけないことは車体の洗浄が行えているかである。皮脂というものはレタリングシートの”のり”が皮脂の邪魔されくっつくことができないことが容易に起こり得る。そのため、仕上げの前には必ず中性洗剤を用いて洗浄するようにしている。せっかくのお高いインレタをゴミ箱の足しにするなら構わないがそんなことは願い下げに決まっている。

 また、車体に対して平行を非常に気にするようにしている。バラの切り文字は不要部分をピンセットでつまむ部分以外すべて切除し、セロハンテープorマスキングテープ上で調整を行い通常にインレタ同様に使用する。擦る際はテープで固定した上、念入りに擦るとミスは格段に減るはずである。

 

 

トップコート

 缶トップコート塗布は厳禁である(藤川球児のごとく缶スプレー厳禁って刺繍したいよなぁ)。代打サヨナラ満塁HRだと思ってほしい。せっかくの頑張りを水の泡にしたいのならば何ら反対はしないが、何も考えずトップコートを吹いて終わらせるのは見ていてなんだか悲しくなってしまう。

 

*以下当工房でのお話

 缶使用厳禁の理由だが主に2点。

・一度の塗布量が多すぎるので、インレタの溶解、塗膜が厚過ぎ問題が多発する。

・ホコリの巻き込み、塗膜の磨き上げが難しい。

 いずれにしてもトップコートを行う場合、塗装設備は必要になるのが問題点ではあるが…。

 考えられるトップコートは2種。

・ウレタンクリア塗装、・通常クリア塗装

 前者だと磨き上げは簡単だが、冗談抜きで艶艶になる。後者であれば、磨き上げは難易度高めだが、つや消しから艶艶まで自由自在に調整が利く。

 

 

⑩収納

 出来上がった模型を念入りに乾かし、保護袋に包み収納する。

 塗装工程を経由した模型は最低でも一日は乾いた日に直射日光を避けて野外に干す。室内なら一週間ほど。そして、クリア塗膜に傷が入ったりしないように、車体保護の袋を準備している(完成しないので実際使うことは少ないよね)

 完成後すら気にするのは、元は、昔もらった加工中の模型がシンナー臭すぎてトラウマものになったという簡単な話だったりする。

 

 

 

4.あとがき

 自分ながら細かく小さいことばかり気にしているなと思いました。ここ最近数か月しか実行できていないものもあるので、継続してやっていかねばと強く考えさせられました。冗談半分で書いたけれど寒いなぁと思ったところは薄字にしているので不愉快に感じた方には申し訳ないです。

 

 

5.参考文献

 表記必要なものはなし。

 

 

 

6.感想、意見欄

 以下アンケートになっています。許可が得られない限り公表しないので、好き放題書いて送ってください(送っていただけるだけでうれしいので…)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfEXE3FXS2oGyN3-7Ukw3vuU2MTwm0PnZXWJ35r94-RBCKcFA/viewform?usp=pp_url